12月に入ってからの9日間、実にいろんなことがあった。
中でもまずは、2日と3日の大阪なんばHatchのライヴについて。
この2本のライヴが終われば無期限活動休止に入るという特別な状況。いつも通りの感じで、なんてはずもない。今までにない不思議な感覚。
2日はアルバム「Bohemia」のリリースツアー”ボヘミアニズム”のファイナル公演。そして、3日はスペシャルな企画を盛り込んだスペシャルライヴ。それが終われば活動休止するなんて、企画を立ち上げたときには考えもしなかった。
まず2日、ツアーファイナル。バンドにとってアルバムとそれを引っさげてのリリースツアーはセットみたいなもんで、ツアーを全て終えて初めてアルバムが本当の意味で完成したと言えると思っています。だからこの日は「Bohemia」の記念すべき完成の日。
全国各地での公演で得た経験、反省を生かし、ツアー中で一番いいライヴができたと思う。
しかし、この日のことを思い出そうとしてもなんだかうまく思い出すことができない。なぜなんだろう。必死だったのか。ファイナルを終えた達成感なのか。よくわからない。
ただ、ステージから見えた光景だけははっきりと覚えている。自分以外の4人のメンバーの姿、ステージ袖のスタッフの姿、1Fフロアと2階席のお客さんの姿は心に焼き付いている。
5人が作り上げた「Bohemia」は完成し、完結した。
そして3日、「LIVE ORDER MADE」と称されたスペシャルライヴ。前半は一般公募で集まったセットリストの中から選ばれた文字通りオーダーメイドのライヴ。後半は、これまでの代表曲、ファンの皆さんから特に人気の高い曲を並べた”Best of ROCK'A'TRENCH”と言える内容。
この日は本当に不思議な感覚だった。背中で鳴っているスピーカーから聴こえてくるベースの音が自分の音じゃないみたいだった。いや、正確には”自分だけの音”じゃないような気がした。自分に何かが乗り移っていて、その何かが自分を動かし、またそれを見ている自分がいる。みたいな感覚だった。
このライヴが終われば、もうこの5人で音を出すことはしばらくないという事実がときどき頭をよぎった。もしかしたらもうずっとないのかも知れないとさえ思った。ただ、悲しくなるとか、涙が出るとか、全くそんな感じじゃなかった。
とにかく、めちゃくちゃ興奮していた。というのがいちばん近い表現なのかもしれない。
間違いなくROCK'A'TRENCH史上、最高のライヴだった。一生忘れることはないと思う。
そしてこれを最後に、ROCK'A'TRENCHは活動を休止した。
畠山拓也と出会ったのが8年前、山森大輔と出会ったのが6年前、オータケハヤトと豊田ヒロユキに出会いバンドに加入したのが5年前。
2006年の9月、吉祥寺スターパインズカフェでのワンマンライヴ。そのときに確信した「この5人がひとつになれば何かすごいことができる」という感覚。
あれから5年、いろんな経験をしてそれぞれが成長し、多くのスタッフや関係者、そしてお客さんに支えてもらった。
ROCK'A'TRENCHの5人で見た夢は終わった。新たな夢を5人で見られる日がもしまたくるならROCK'A'TRENCHは活動を再開するだろう。
そのためには5人それぞれが人間としてミュージシャンとしてもっともっと成長しなければならない。
立ち止まっているヒマはない。
もし、みなさんがROCK'A'TRENCHの活動再開を本気で望んでくれるなら、5人それぞれの”これから”を是非応援してやって下さい。
最後に、5年間応援し支えてくれた全ての人たちに言わせて下さい。
ありがとうございました。
また5人で皆さんの前に帰ってこれますように。
その日までしばらくさようなら ROCK'A'TRENCH
河原真
(沢山問い合わせがありましたが、このブログ、及び僕個人のTwitter,mixiはこれまで通り継続します)