コニスポ!

Masahito Konishi [tailor]

BESPOKE TAILOR DMG,Made to
Birthday : 1969/7/29
Hometown : Osaka Japan

2009/11/11

連載小説「ミナミセンバフットサルチーム」その4

その4

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「実は社長をスポーツバーSB離島から連れ出したのは僕なんです。そして…」

相撲部は店内でナカやんから、そっと手渡されたお金を後輩達に預けて、先に帰らせてからナカやんにちょっと話があるんでと誘い出し、人のいない裏道へ二人で歩いて行く。


「…そして、その歩いてる途中もあの1ヶ月前のフライデー事件のことを言うか?、言わないか?、を凄く迷っていました。少し酔った勢いもあったんですが、ただこれは言わないとそろそろ取り返しのつかないことになりそうなのは、なんとなく分かっていたし、こんな驚愕する話を黙っている自分が怖かったのだと思います。そして勇気を出して社長に伝えました。」


(裏道での相撲部の回想トーク)

あっ、あ、えっと、あの~社長、今から言うことはびっくりしないで下さいね、絶対に落ち着いて、びっくりしないで下さいね。
実はなかよ卯のあの子には、男が居てまして彼女は男と同じマンションに同棲してるんですよ……

と1ヶ月前のフットサル場での独断追跡調査の一部始終をしどろもどろに説明した。


「そして社長は僕にこう言ってくれました。」


(相撲部が回想するナカやんの話)

まぁ彼女位に綺麗やったらそんなこともあるやろなぁ。残念やけど仕方ないよなぁ~あっそうか~やっぱりかぁ、うん、うん、分かる、そうやなぁ~でもね相模ちゃん、俺に言いにくいのに勇気出して言うてくれてホンマ有難う。


「と、社長は言ってくれて僕も社長の気持ちを考えたらなんだか泣けてきて、二人で泣きながら缶珈琲を飲んでその場は別れたんです。社長が元気なくなって、なかよ卯に行かなくなったのと船場界隈に呑みに行かなくなったのはこの時以来です。
勿論皆さんが請求された18万ごときで腹をたてている訳じゃないです。社長は凄い大金持ちじゃないけど金欠ではないので大丈夫です。
ある日社長は大失恋したそのやりきれない気持ちから、僕を連れて新古ベンツを買いに行ったんですけど、最初は値段が¥5574000-つまりゴーゴーな(か)よ、おーだったんで、社長は気分じゃないと¥5141800-コイシイナーに値切ったんですよ。
けど、それじゃぁ余計に未練たらし過ぎるんで、金額明細を見ながら社長が傷つかないように、ここは前向き思考で、男らしく思える相撲の掛け声、コイイッ~、ってことで¥5110000に値切ったんです。でも次の日に僕が1人で乗り込んで最終価格なんと¥4989000に独断能力を駆使して値切り倒しました。
あと最近毎日新地に行ってるのは、卯女さんに似た女の子を見つけに独りでキャバクラやクラブを回ってるみたいです。僕も2回程ついていきましたが…」

確かに我々【南船場ケーサツ(計札)】の推測していたナカやんの元気の無さについて探ることは出来た。


しかし相撲部の話もふまえるとナカやんの落ち込み方は、我々の予想を遥かに越えていた。

ブンちゃんがそれを考え込むと、若手ラーメン店主が斬り込んだ。

「ちょっと今の話の中で気になる点は多々あるんやけど、まず、初めに言うけどね、相撲君、君が皆さんが請求した18万ごときって言う言い方するのはおかしいな!
これはお前とお前の後輩の仕業やろ、確かにアノ時俺は居なかったから喧嘩の仲裁出来んかったし、仲裁にルンバダンスに大活躍したんは君らやからね、それは流石やけどな、暴力が本職の方々やチンピラに頼んでも素人同士の喧嘩仲裁にそんなに金はかからんぞ!
それに俺がいかれへんような新地の高級クラブに行きやがって、いつも10日分の飯を1回で食いやがって、お前はナカやんのただのデブヒモ!いやヒモデブや!」

と欧風ラーメン店「ポリス麺」を営むケイジが開口一番に怒鳴りつけた。

元柔道部で縦の関係を重要視する【南船場ケーサツ(計札)】のホープである。店名の由来はイギリスのバンドpoliceが好きだから。熱血漢と知的な一面を併せ持つ。


相撲部が真剣にビビりながら一生懸命に謝ると、額から滝のような汗が流れてきたので、他のメンバーは爆笑し、相撲部にも安堵の笑顔が洩れ、その瞬間にブンちゃんが相撲部の話のズレに鋭くメスをいれた。

「ケイジまぁ、それ位にしなさい。言い過ぎは良くないなぁ~君の方がチンピラに見えるで!そうそう、ところで相撲ちゃん、君は何かまだ隠してるよな?なんでナカやんが喧嘩した日に、お前自身の中でも大事な人であるナカやんに、めっちゃショックな話をすんねん?それは酒に酔ったからでないよね!
というかその日君は仲裁係という責任から酒に酔えなかったはず!だろ?
その話の先にも隠してる何かがあるからその日に君はそのことを言ったんだろ?そうだよね!お前はアホやけどそんなこと分からんアホじゃないって!」

さっきの南船場ケーサツのホープのケイジの話より穏やかで丁寧だけど、凄みのあるベテラン刑事ばりの語りは、ある意味本職やチンピラの脅しよりも数倍怖い。相撲部を一挙に土俵際に詰め寄せた。


「じっ、実はそうなんです。やはり言わないといけないですか?じつは、そのぉ~この話はですね!
あの件を話した時に社長にも伝えなきゃって思ってた訳なんですが、社長の涙を見たら言えなかったんです。後日絶対言おうと思ってても、社長最近いつも元気ないからやっぱりずっと言えなかったんです。だから言わないで良いでしょ?だから、だからもういいですよね、本当にホンマに、言えないです。お願いします。」

土俵際で必死に粘る相撲部だっだが、それは彼にとって自分からは言えない余程のことらしい。。


すると、相撲部と仲の良いバー110のさっちゃんは、サインを見切り一言で終止符を射った。


「あのときスポーツバーでナカやんと喧嘩した相手が卯女の彼ってことね!」


相撲部は小さく頷いた。

女の勘は鋭い。


その4終わり

つづく


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読んでくれて、ありがとうでごんす。

その5に期待してね!