コニスポ!

Masahito Konishi [tailor]

BESPOKE TAILOR DMG,Made to
Birthday : 1969/7/29
Hometown : Osaka Japan

2010/01/15

ミナミセンバフットサルチーム その7

ナカやん救出1


ナカやんの安否を心配して、会話もなく凍りついたタクシー内で、突然さっちゃんが左手に水晶をのせ、ずっとその小さな水晶を睨みながら、ナカやんを説得する方法について急に語りだした。


「淀屋橋から南船場まで無理矢理でも良いからナカやんを連れて一緒にランニングして下さい。そうすれば悪霊の力が強い早朝の時間にナカやんは単独行動が出来なくなるので、上手く行けばナカやんの救うことが出来るかもしれません!
これからはナカやんには必ず誰かが付き添うことが大事だし、そして日々の生活で何かに夢中になり、一生懸命にさせること、あっ、あと悪霊は動き回る白い玉が大嫌いなので、悪霊退治には野球とか、バレー、やっぱり今は早朝にフットサルをやることが一番良いかもしれないわ!」

それを聞いている男3人は、ナカやんをなんとかして助けたいから藁をも掴むような心境で、さっちゃんの話をじっと聞いていた。

客観的になればさっちゃんの話は、ちょっと可笑しいような感じもしなくないが、説得力のある語り口と、このところ元気がなく気がかりだったナカやんのことだけに、男3人皆が団結して必ずナカやんを救おうという不思議な結束力が芽生えた。


そしてさっちゃんの指示により、淀屋橋を少し南に渡った時計店のビル陰に皆で身を隠して、自転車で通りすぎる新聞配達員や朝靄の中を黙々と駆け抜けるランナー達が通るのを暫くじっと見つめていた。


すると驚いたことに本当に、梅新交差点を越えて軽装でナカやんがこっちに走って来るのが見えた。

「え~やっぱりかぁ」男3人は声にならない位のトーンで一様に呟いた。

するとナカやんは、今にも倒れそうな辛そうな顔をして橋の手前で急に立ち止まった。
そして息を切らせながらこちらの方にゆっくりと歩いて来る。
前屈みでハァ~ハァ~としんどそうに歩いているので勿論こっちには全く気づいていない。

ナカやんは橋の丁度真ん中辺りで、川の中を覗きこむようにして、石で出来た橋の防御柵の縁に脚をかけた。


「あっっ、やばい!これはマジでやばい!やっぱり占い当たってる!」

と一番早く駆け出したのは160キロの体を揺らした相模で、すぐにブンちゃんとケイジも追いかけた。


その7終わり
続く