ミナミセンバフットサルチーム その6
その6
一気に読むでごんす!
ケイジの話を要約すると
ナカヤンが購入していた牛丼1万円分のうち10杯程は相撲部本人が食べて、残りの15杯程を後輩部員に百円~二百円程度で売りさばいていた。1日の横領額は約1500~3000円程、ナカやんのなかよ卯通いトータル回数は427回なので、横領総額は推定約100万程
次にベンツの購入金¥5110000-をナカやんから相撲部が預かっていながら、支払いの際に土壇場でディラーを半ば脅迫して¥4989000-に値切り、その差額¥221000-をナカやんに返さないでそのまま横領した疑い。
スポーツバー離島でナカやんから預かった約20万円を後輩部員に手渡して、後でその現金を横領した疑い。本来その金は相撲部員の飲食代として支払れるようにと、ナカやんが相撲部に渡したお金だった。
3つ合計すると約150万円近い横領となる。
これらの容疑は船ケー独自の裏付け捜査をした結果確証され、更に新たな余罪を調査中であることなどもケイジは告げた。
長い容疑説明の後に相撲部こと、相模三郎が恐る恐る弁明を始めた。
「そのぉ~、まずですね、その牛丼の件ですがね、家が貧乏なので仕送りも少ないし、そのクセ、相撲してるから人よりよく食べるし、まず僕は毎日腹一杯食べたいからこのバイトを始めた訳なんですよ。」
「うん、それは、確かにねぇ」と、かつて苦学生であったブンちゃんは少し情けをかけた。
相撲部はその言葉を聞き安堵したのか、少し調子に乗って語りはじめた。
「食べれない分の牛丼は部員に渡してることを社長には言ってましたし、部員に対しても善意で牛丼と百円玉とを交換してきたんです…」
何か喋りたげなブンちゃんを遮るようにケイジは強い口調で告げた。
「あのなぁ~君は自己肯定の魂みたいな肉塊ブタや!何が善意や!最低な肉塊だな!痛風とか病気で動けない後輩部員には350円で牛丼を売ってたこともあるらしいな!ナカやんからタダで仕入れてるのに悪どい奴やなぁ~、大体ねぇ、痛風で動けん奴に何で更に尿酸値が上がる牛丼を食わせるねん、余計に治らんやろ!」
「僕はそいつが嫌いなんです。後輩のくせに金は持ってるし、僕より相撲強いし、だからあいつには大盛り牛丼で尿酸値上げて苦しませて、部活を辞めさせたいんですよ。それに、僕はまだそんなに悪くないですよ!大盛りや特盛りだから普通に買いに行くよりはかなり安い値段設定にしてますし、まぁでも食べた方に責任あるんじゃないですかね?」
と更に相模容疑者は開き直った。
「まあ、とりあえず悪質な横領じゃない細かい件は内々の話で良いでしょう…サブロー君だけが悪い訳じゃないかもしれないし…」とバー110のさっちゃんが相撲部を庇うような形で話を止めた。
そしてケイジは話を切り替えた
「それから次にベンツの件だけどナカやんから相撲部が預かった金額は5110千で、ナカやんの会社の経理に確認したら領収書は確かにその金額で合っていた。だけど先ほどの相模容疑者の話だと4989千に値切ったという供述があった。これは領収書の金額を偽造させて差額を着服したのはまず間違いないだろう。数日前に自分の勘を頼りにして、直接外車ディーラーに話を聞いてみたら、案の定土壇場で相撲部員数名に脅されて金額をまけさせられたという事実が浮上した。
聞けば相撲部五人組であれこれ車に試乗させろ!とか、急に稽古を始めて展示車を変な場所に押し出したり、ショールーム真ん中の円形の車種マークのある所でぶつかり稽古を始めたりして、半ば強引に責任者を脅したそうやな!」
「すいません、つい現金を山ほど持ってたんで値切り倒しました。後輩を沢山連れてたのも調子に乗ってしまった原因かと思います。でも帰りに焼き肉食べに行ったんでそのお金は綺麗に無くなりました。でも何で分かったのか本当にビックリです。」と相撲部は謝った。
するとケイジが
「お前やっぱりあの食べ放題の焼き肉屋に行ってたんかぁ~色々調べたかいがあったわ!あの外車ディーラーから北に向かって角にある焼き肉食い放題3千円の店で、相撲取りが来て店の肉を全部食べたから、店長にもうこないで下さい!って言わせた挙げ句に全額返金させたのはお前やな!その際横領したカネがないなんてのは真っ赤な嘘やろ」
「まっ、またバレてしまいました。誠に失礼続きですいません。もうしません、どうか許して下さい。船ケーの凄さを思い知りました。もうしませんので…」と平謝りしながら相模容疑者はピクピクしはじめた。
。
「悪いことしたら罰があたるんじゃ」とブンちゃんは頷いた。
すると船ケーの予知能力者さっちゃんが小さい水晶をポケットから出していきなり語り始めた。
「あの~サブロー君はお金の呪いにかかってるわ!その呪いにかかると大抵全ての財産を失うのよね!かつて1598年豊臣秀吉が伏見桃山城で死んだ時にも、淀殿や石田三成が企んで大阪城の軍資金4989千両をある場所に動かしたんだけど、関ヶ原の戦い以降その呪いが商人の街である船場辺りには蔓延してるのよ!
1598、いごくな、という大阪弁の強い注意を振り切った上で、4989、しくはく、四苦八苦するという2つの最悪の状況がリンクした為に、兵数や財力では完全に優勢だった大阪方が、関ヶ原で東軍徳川に数時間で完膚なきまで惨敗してしまったのは皆も承知の事実でしょ。四苦八苦ってのもその時の数字の怨念から生まれた悪い言葉だから、サブロー君には多分お金の邪神がついているんだわ」
「えっ、お~怖ぁ~、そんなん嫌ですよ~どうしたら?えっ~これから僕はどうすれば良いんですか?」と相模はさっちゃんに問いかけた。
「まず私の言うことを聞きなさい。そして精進することです。特に今までお世話になった人には、恩返しをしなければいけません。つまりまずは一番身近な方の為に何かをしなければならないんです。」と相模に告げた直後、水晶に手をがざしたさっちゃんが驚きながら更に語り始めた。
「あっ!なんか不味い予感がするわ!身近な誰かが恋しさのあまり、命を落とすかもしれない。淀屋橋をランニングしてる人が…あっ危ない、あっナカやんが見えるわ、これはナカやんがなかよ卯に通った回数が悪いようだわ、427回、つまり、しにな、の悪霊の問いかけにひょっとしたら応えてしまうかもしれないわ」
朝方になったバーオリルを船ケーのブンちゃん、ケイジ、さっちゃんと相模を合わせた四人はギチギチのタクシーに乗って急いで淀屋橋に向かった。
その6終わり
続く