ミナミセンバフットサルチーム その8
その8
ナカやん救出2
川に向かって前屈みになりゼイゼイ言って唾を吐いているナカやんを見て、更にトップスピードを出そうとした相模は、足がもつれてナカやんの少し手前でドテッと転けた。
顔面を強打し、鼻と右膝からは血が吹き出している。しかしそんなこともお構い無しで力を振り絞り相模はナカやんに叫んだ。
「社長危ないじゃないですか?こんなことしてたら駄目ですよ!」
「あっ相模かぁ、お前こそそんなとこで鼻血出して転けて危ないやないか、ところでアホみたいに何してるねん~びっくりするがなぁ、あっ、えっ~何でブンちゃんとケイジ君まで揃って、みんなこんなとこでどうしたんや?」とナカやんが尋ねた。
「なるほど流石相撲取り!微妙に受け身しながらコケたね!凄いなぁ~稽古でなれてるから軽傷みたいやな、まぁ大丈夫でしょう。ところで実は僕らも急にたまたま偶然マラソンしようってことになり、四人でここまで来たんですが、まぁ~ここで逢ったのは何かの縁ですから、かたい話は抜きにして、楽しく仲間で地元南船場までゆっくりと走りませんか?」
とケイジは少し無理矢理に明るく話を切り出した。
「ナカやん!ゆっくりでちょっと走ろうや!」とブンちゃんも満面の笑みを浮かべて話し掛けた。
ナカやんの心情を察して、大人な配慮というか、づけづけとナカやんに理由や真相を尋ねないように笑顔で振る舞うことに皆が専念した。
2、3分休憩して、男四人、女1人の合計5人の私服姿のランニングが始まった。
途中相模の応急処置の為にコンビニに寄って、負傷した膝に簡易性の包帯を巻き、鼻には布製のガムテープを貼っつけた。
五百M位ごとに休憩しながらゆっくり走り、中央大通りで数時間前にバーオリルをレジチェックがあるからと先に帰ったカラオケパプの宇多田とたまたま合流した。
なんと宇多田はボールを蹴りながらトレーニングウェアを着て颯爽と現れたのだが、そのボールが悪霊の最も嫌うと言われる白いボールだったので、さっちゃんが宇多田にバレーボール持参で…と細かく連絡しているのもすぐに分かった。
そしてその6人はそのバレーボールを蹴りパス回ししながら難波神社の南角を右にまわったところで止まって軽い練習が始まった。
難波神社の南壁に血だらけの相模を立たせてシュート練習したり、その前にある仕立屋の看板と白いコーンを勝手に使ってドリブルの練習を繰り返した。
そして8時過ぎに練習を終えて、デイリー山崎のフリーテーブルで皆でパンやお握りを買って、朝食しながらフットサルのミーティングになった。
「あ~しんどいけど気持ち良い練習やったねぇ」とナカやんが言うと皆嬉しそうに頷いた。
続けてナカやんが呟いた
「でもバレーボールで練習しててええんかぁ」
「あっあっ最初はバレーボールでも良いらしいですよ!」と相模が中途半端に答えた。
血だらけでも案外元気な相模のトークに皆が笑った。
その8終わり
続く