コニスポ!

Masahito Konishi [tailor]

BESPOKE TAILOR DMG,Made to
Birthday : 1969/7/29
Hometown : Osaka Japan
2009年11月

2009/11/04

連載小説「ミナミセンバフットサルチーム」その3

*ここをきっちり読まないと、面白さが半減する恐れがあります。ちょっと我慢して読んでね!


その3


あれは卯女とイケメンのフライデーから約1カ月が経った、先々週のこと「ガンバルンバ新大阪対セフレッズ西中島南方」の通称「十三ダービー」を、新町の老舗スポーツバー「SB離島」で観戦していた時のこと。


ルンバのエースFWの番場がゴール前の攻防でセフレッズのDFに脚を引っかけられ、レッド臭いプレーなのに審判からはイエローも、ホイッスルもなし、おまけにエース番場がうずくまっているという、キナ臭い展開になり東淀川サッカー場は荒れもよう、我ら南船場ルンバ応援隊は液晶画面から見えるセフレッズDFや審判にブーイングをしていた。


そんな空気の中で、「番田ワザとらしいなぁぁ~あいつ、またやってるよ!」と我らがエースをヤジったKYなあるセフレッズサポーターにナカやんがいきなり噛みついた。


「おいコラッ!番田やのうて、番場や、それくらい君もサッカーファンなら覚えとけ!」
ヤジったことよりも、我らがスターの名を間違ったことにマジギレする思いやりと優しさ溢れるナカやんは、やはり人間的にも流石なのだが、唯一問題あるとしたらそれを言ったタイミングが最悪だった。


それを皮切りに他のルンバとセフレッズサポーターの小競り合いもあって、スポーツバーも徐々に一触即発の事態に。


「やるんか小僧!」とナカやんが言えば

「怪我しても知らないからな!あんた」と小生意気なヤジ野郎


ドラマみたいなよくある喧嘩の前触れの後、ナカやんとヤジ野郎が、取っ組み合いになり今まさに喧嘩になりそうな気配のタイミングで、

ドッド、ド、ドッと地面、いや、板床がゆれるような音がして、ハァハァハァ~という大きいアシカやトドの類いのような大型哺乳類特有のむさ苦しい息使いが聞こえてきた。


次の瞬間ヤジ野郎がいきなりナカやんの顎めがけて放物線上に大振りのアッパーを放ったその時。


「ボムッ!、ゴキッ!」

という店内に鈍い音が響き、
なんと見事なタイミングで現れた相撲部の下腹の中に拳は完全に埋まって消えてしまった。

下腹部の脂肪に拳がめり込んで埋まってしまい、強烈な弾力でそのまま違う角度に手首をねじったのだ。。。

さっきヤジったバチが当たったかのように、さっきの番場選手と同じようにうずくまったまま、ヤジ野郎は声も出せない。
拳と手首をウニャウニャと回しながらあまりに痛そうにしているので、バースタッフやお客も駆け寄りそれを心配する流れになり、これにて喧嘩どころではなくなった。


実は危機を察知した自称予知能力者の南船場のバー110のさっちゃんがすぐに携帯で相撲部を呼び、たまたま相撲部が近くでランニング中だったので飛んできたのだ。

さっちゃんのファンタジスタスルーパスと相撲部の武骨な弾丸突入シュートで南船場ルンバ応援隊が「裏十三ダービー」をお先に制した。

試合は、それに応えるように脚の痛みに堪えながらプレーを続行した番場がロスタイムにトルネードオーバーヘッドキックでシュートを決めて辛くもルンバが勝利。


ルンバ応援隊は大盛り上がりで我らがホームSB離島でも恒例の【ルンバダンス】をルンバサポーター全員で踊ってた時に、途中から激しく床が笑うように揺れていたので、ふと階段と端を見るとまわし姿の力士達が現れた。

相撲部が得意の独断!力?で、試合後の警備係として同じく近くをマラソン中だった部活の後輩11名を呼び出したのだ。


相撲部員の警備協力や力士達のゆかいな【ルンバダンス】で会場には大爆笑が溢れ、いさかいは完全におさまっていたのだが、ちょっとした腹の探り合い程度の言い合いが、互いの集団の酔い加減もあり、ジャブを打つ程度に繰り広げられた。

年齢、職業、家族構成や過去の不良自慢、同級の有名人話など、緩めなちょい威嚇的会話が続く中で、急に鋭いシュートを打ってきたのは、右拳に赤い包帯を巻いて帰ってきたヤジ野郎、そうあのアッパー野郎だった。仲間の心配度や皆の発言、コヤツの専用らしき赤い包帯などを察するに、どうやら彼がこの集団のリーダー格らしい。

痛々しい表情と大きくなった右手の拳の包帯は彼をあたかも被害者のように写し出した。そしてわざとらし過ぎるが爽やかにも見える笑顔で彼は語った。


「あの~先程は本当に失礼しました。僕が馬鹿ですいませんでした。我々はまだまだペイペイな南堀江のセレクトショップの店長クラスの集まりで皆セフレッズサポーターです。皆で今相談して決めたんですが、良かったら街のカッコいい大先輩方と交流させて頂きたいのですが、恥の上塗りみたいに厚かましくて恐縮ですがが、宜しくお願いします。」と丁寧に述べた後、南堀江店長チーム全員がナカやんはじめ我々に陳謝し、南船場チームは喜んで和解した。


そこそこイケてる若者達に謝られたり、頼られると我々南船場チームは非常に脇が甘くなる。

暫く和気あいあいの会話が続いて、更に赤い包帯は話を続けた。
「実は僕らはサポーターだけじゃなく南堀江周辺の大手セレクトショップの店長達で集まって、フットサルチームを作っているんですが、こちらにおられる南船場の立役者である皆さんも、宜しければチームを作って一緒に練習とか、楽しく遊び感覚で練習試合とかしませんか?大先輩方と何かしら交流がしたいんです。。」


このアッパー崩れ、赤包帯、いや南堀江セレクト店長は甘いマスク面で爽やかに練習試合をしようと言っているが、それは真剣試合を企んで我々に完璧な喧嘩を売っているのには間違いなかった。

しかも一見友好的な若者らしい清い態度だから、まあまあ端からみたら、美談のパターンに見えるし、この時の店のBGMはナツメロのフォークソングが流れていたから尚更、大昔の青春ドラマの喧嘩の後に仲直りする昭和の学生みたいなある意味懐かしい気分に皆が酔いしれてしまい、一見客の多くはセレクト店長の話に完璧に洗脳された。

実際冷静に考えたら何で暴力的でカッコ悪い負け方した奴から和平交渉するのか分からないし、確かに痛そうだが、あの大げさなシャアか、赤星を真似たような赤い包帯はかなり演出っぽい。


南船場チームはアラホー中心世代でこの場では年長者になるので、流石に怒ったり、注意するのもカッコ悪い。とりあえず皆、その場の話を聞くしか方法はなかった。

またこの場の警備、更に睨み役にあたる相撲部員の側からしても、フットサルなんて大の苦手スポーツであることは間違いない。話をすり替えられて仲良くフットサルしましょうって、巧みにあの笑顔で振られても相撲衆は確実に困る訳で、だからかなんだか知らないが、誰1人として両派閥の会話にも全く入らずに、南船場チームと南堀江チームの間にある大きなテーブルで、警備を装うようにカレーやピラフをビールを呑むのと同じように呑み込んでいる。

南堀江店長チームからしたらこれはシメシメな展開。

メシ、メシって注文し食い続ける相撲衆はおとなしい象の大群のようであり、この南堀江の店長ならインドに行けば象使いの達人になれるに違いない。


この才能が各店舗、約数十人から百余を超える社員スタッフやバイトをロボットのように使いこなす卓越した【人使い管理能力】に繋がっているんだろう。

そしてまさにこの巧みな交渉術と話のもって行き方は、東京資本系の大手アパレルとそれに操られた不動産屋のやり口だ。

こういう口車にのって昔から営んでいる南堀江のおっちゃんおばちゃんの地元の食堂や商店は、吸収や立ち退きや撤退、廃業を強いられてきたのだ。

そんな巧みな喧嘩の売り方に我々なりに驚愕し焦っているのも束の間。

「若いのやってやるってぇ!俺らにはなぁ~元Jリーガーがついているからね!若い奴らに負ける訳ないって!」と一番年長なのに新人扱いされる越中さんが噛み付いた。昨年居酒屋チェーンをリストラされて最近この界隈で独立したとんまな焼き鳥屋店主だ。全くサッカー知識はないけど自称ルンバ応援隊で、店が暇になると、ここら辺りの大型店でお客を拾って自らの焼き鳥屋に客引き営業している。またナカやんによく呑み代を奢って貰ってる輩でもある。


この馬鹿トンマなネギマ親父!と皆で顔を見合わせては心の中で叫んだが、もうすでに時遅し。


ものの15分足らずで3ヶ月後に練習試合が決まってしまった。






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ガンバって読むでごんす!
もうすぐでごんす!!






そして南堀江チームが引き上げ、またとんま越中も先に仕事があるので…と帰ってから、皆であたふた、あたふたしていたのだが、南堀江セレクト君、いや、セレクト教祖に洗脳された見知らぬ一見客が

「南船場ルンバさんフットサル頑張って!!負けないでファイト!カンバルンバ!」

「絶対見に行きますから~また次ここで会った時連絡先教えて下さい。絶対ですよ」

などと意味のない今だけの雰囲気応援に我々はキレることも出来ず、表面上笑顔で答えるしかなかった。

その捻れたストレスや緊張からだろうか、段々と深酒になって逆にハイテンションになり、1時間もしたら全員がフットサルをやる気になってしまった。


ユニフォームの注文先と一応のポジションまで決めて、あと蛇足として越中さんはこのチームや会合には今後入れないことを確認しあった。

何故ならまず59歳の親父にフットサルは無理だろう。また越中の言う知り合いの元Jリーガーってのは、最近USJに家族旅行でたまたまホテルから近いとんま焼鳥店に訪れた〇〇さんのことで、レジの横に一枚だけ綺麗にラップして貼ってるあの色紙の人だ。

因みにその方は札幌在住。越中は間違いなくその〇〇さんの連絡先すら知らないし、恐らくその選手の名前すら知らないんじゃないかと思う。

しかし仮にとんまな越中が本気出してなんかの拍子に調べ連絡でもされたら、我々南船場ルンバ隊の大恥でもあるから一応注意はしておこう。あと最も越中がアウトな事項を述べるとすれば、今日の呑み代を置いていかなかったことだ。始めからナカやんが居たから払う気なんてないのだろう。

「越中無しは仕方無し」
という若干前向きな合い言葉で一本締めして離島マスターにお会計を告げた。

しかし、しかし越中事件よりビビったことがお会計の最中に発覚。
先に帰ったごっちゃん相撲衆12人の飲食代だけで25万を越えていたことだ。ビール4百円、ピラフ普通盛り5百円の店なのにビックリな金額だ。

因みに南船場チームの会計は越中込み8人で2万5千円位。

SB離島のマスターに懇願してオオマケしてもらい総合計24万を6人で割ることになった。

急に用事があって「後で請求してね」と告げて先に帰った本日の英雄でもあり、罪人でもあるナカやんに、相撲部の管轄責任と、ごっちゃん相撲衆を引き入れた原因罪ということでナカやんに近日中に各自3万円を請求することを約束し、残るルンバ隊6人やっとお開きとなった。


あの時のことはフットサルをやる機会になったから皆よく覚えている。

盛り上がった動機は各々様々なのだろうが、考えて見れば運動不足で、しかも日頃から若く見られたい、若い奴らに負けたくないという都会的見栄張り精神旺盛な我らに新しい風や気合いを入れるきっかけにもなったし、南船場の中小オーナーの東京の大手資本の会社に舐められたくない、呑み込まれたくないというこれまで守ってきた熱い気持ちにも更に火を点けることになった。

一部始終その時のことを確認した後「オリル」のマスターブンちゃんが相撲部に切り出した。


「ところでフットサルの試合をする経緯と、ナカやんの今回の喧嘩事件やその後の落ち込み方や、そして君の辞める理由とか、どうしてそれらが繋がってるのか、関係あるのかが、全然分からんねんけど?それらはどういうことなんや?」と強い口調で問いかけた。


「それが深く関係あるんです…本当は絶対に言えないことなんです。まずそのことを分かって下さい。お願いします。その上でこれはですね、本当に、本当に、この場の内緒で、ここだけの話にして下さい…」と相撲部は何度も辛そうに繰り返し、その裏に繋がる何か…を語り始めようとしていた。


その3終わり


つづく


追伸とお礼

今回のその3のSB離島の変は長文になりましたが、最後まで読んで下さって有難う御座います。
ミチ君が気になるって言ってくれたから気合いが入りました。元毒ブログさんのメールも嬉しかったです。毒ブログさんのように首にならずに済みました。(笑)
でも小説ちょっと気合い入れすぎたかな?

2009/11/02

発掘発見の秘密

GREEのドリランドで鬼鉄とエクスプローラーと大魔神で超レアなお宝を見つけましたよ!

これはポイントをくれた久米さんのおかげデス(笑)


あっドリランドでもないです。洒落が過ぎました。誠に申し訳ございません。


申し訳ついででは御座いますが、そのお宝をお見せ致しましょう


こちらで御座います。


Rcuff1


19世紀中~後半に作られたフランスのアンティークカフリンクスです。


この輝きはまさに宝飾品で御座います。


フランスの貴族がお抱え職人に作らせたモノだろうと推測されております。まさに一点モノのお宝で御座います。

詳しくは

antiquecufflinkslimited.com

にて


11/10発売のファッション誌coverにてサイトが紹介されておりますので、良かったら此方もご覧下さい。