コロナウィルスに思ふ
中国から始まった今回の新型コロナウィルス感染。
日本に広まりつつあるころは、ドイツから随時ネットに上がるニュースなどを見て、その経過を追っていましたが。
あっという間にウィルスはヨーロッパにも上陸し、もはやイタリアやスペイン、フランスでの感染者数はうなぎのぼり。
ドイツも例外ではなく、凄い勢いで増えていますが、その中でもデュッセルドルフを州都とするノルドラインヴェストファーレン州は半数に近い感染者が出ています。
その中で気を付けてみなくてはならないと思うのは死亡者の数。
感染者数は国によって検査の指標が違いますし、比較の対象にはならないと思います。
日本も検査数をできるだけ必要な人だけに限定しているでしょうし、不必要なパニックを助長しないためにも、そういった対応は間違いではないと思いますが。
重要なのはそこから死亡に繋がる事例がどれだけあるのかということではないでしょうか。
ドイツは感染者数こそ5千人近くとなっていますが、死亡例は12人。これに対して例えばイタリアは2万5千人近くに対して死者数が1800人を超えているという。
この相対的な数字を見るだけでも、コロナウィルスに対する危険度の認識にもかなりの差があるのは間違いないと思います。
つまり先進国が集まるヨーロッパでも、衛生環境や文化生活習慣、医療環境や認識の差などによって、現状に大きな違いが出ているということです。
中国は終息宣言なんて言ってますが、世界に向けて経済的な支援をスタートすると宣言する前に、自国の衛生環境や医療環境を隅々まで改善し、そして整備することにもっと投資するべきだと思ってしまいます。
日本の状況を見ると、安倍総理の対応について賛否両論のようですが、東京オリンピック開催の問題、中国との関係性など、本当に難しい局面の中で対応を迫られているのでしょう。
中小企業の倒産もすでに起こり始めていますし、学校の閉鎖もこのまま続けていていいわけはないですからね。
いずれにしても、こういうときに人間力/人間性が問われると思うので、何よりも大事なモノは何かということを考えなくてはいけないですよね。
ちなみにこちらの話に戻りますが、さらにここ数日で次々にプロサッカー選手や監督に感染者が出て、この状況を受けて、ヨーロッパではどこの国も軒並みリーグ戦の中断を決定しています。
戦前から続くリーグにとっては、(第一次、第二次)世界大戦以来、リーグを中断したり、場合によっては中止することになるかもしれないという事態。
ブンデスリーガは1963/64シーズンからなので、まさにリーグ始まって以来始めての状況を迎えています。
もちろん中断を決定した理由は、選手らの健康を守るため、感染の拡大を防ぐためです。
中断決定前には、無観客試合も決まっていたましたが、1試合だけ無観客で行い(ボルシアMG vs. ケルン)、結局その対応ではダメだということで中断にとなりました。
無観客で予定されていた先週金曜日のフォルトゥナのホーム試合が、相手チームに感染の疑いがあったため直前でキャンセルされたのですが、結局その選手も陽性反応が出たという...
無観客とは言え、もし試合をしていたら一体どれだけのフォルトゥナの選手が濃厚接触になっていたのか。
↓フォルトゥナは急遽、無観客となるスタンドに大きな弾幕を用意し、夜の試合に向けて広げる行をしていましたが...
ちなみに相手チームは前泊してデュッセルドルフ入りしていたわけですから、選手スタッフらが全員濃厚接触の疑いとなり、全員が自宅で14日間待機となっています。
すでに報道にも出ていますが、日本代表の原口選手が所属する2部クラブハノーファーや、ニュルンベルクでも感染者が確認され、チーム関係者が全員14日間自宅待機となりました。
他国のクラブでも同様のケースが出ており、次々に自宅待機処分が発表されています。
この対応は致し方ないですが、これは同時にリーグ戦の再開は本当に難しいものとなったことを意味しています。
それはつまり、14日後に全員が陰性だったからって、すぐに試合をできる状態にはならないからです。
選手たちにとって14日間トレーニングをしないということは、ウィンターブレイクよりも長い期間ですし、本来選手はウィンターブレイクですら走ったりしてコンディションは落とさない努力をするものですから。
今のこの14日間家で待機するという処置は、一切外に出ないで自宅でじっとしているしかないわけですから。
もし14日後にトレーニングを再開できたとしても、チームをまたリーグ戦で戦う状態に戻すまでには、最低でも2-3週間は必要となってしまうのです。
何よりそもそも、14日後に世の中の状況が改善されている保証など全くないのが現状です。
そういう意味でも、このリーグ中断という決断が持つ意味、そして選手たちに感染が出てしまったという意味は、重く深い意味を持ってしまっています。
そもそもこの新型コロナウィルスの厄介なところは、感染しやすく、発症しにくいという点です。
そういう意味でももう風邪菌と同じくらいの勢いで広がっているのでしょう。
日本でもまだまだ感染確認のニュースが次々に出て来ており、学校休校など混乱は続いていると思います。
ドイツもいよいよ週明けから学校幼稚園が全てクローズとなり、とりあえず4/19まではこのままとなります。
日本同様にいきなり決定したので、子供を抱える親はてんてこ舞い。
ボクも2歳の子供がいて、幼稚園に通っているので、色々な対応が必要になります。
幸いフォルトゥナは、必要に応じてホームオフィスもOKと通知してくれたので、これからどう対応するか考えていきますが。
でもそううまくいかない家庭は大変でしょう。
メルケル首相は声明で、学校幼稚園が休みになるからといって、極力子供をお爺ちゃんお婆ちゃんに預けないように、とコメントしています。
高齢者への感染を避けるためですし、当然理解はできるのですが、実際町の声はそうは言ってもいきなりは対応できない、というものが多数。
日本と同じですよね...
そしてもっと怖いのはイタリアなどは今、レストランからスーパーまでクローズになって閉まったということ。
国内の移動も制限され、国境も封鎖され始めています。
ドイツと隣接するポーランドやデンマークは、国境を封鎖しました。
ドイツもスイスやオーストリアとの国境を制限付きで封鎖する決断を下しました。
レストランやスーパーが閉まるという事態が、ドイツで起こらないとは言い切れなくなってきましたし、それに向けて早い準備もしなくてはという心理になってしまいます。
週末を迎え、念には念をと色々なところへ買い出しに行きましたが、どこもかしこも買い出しに走る人々の姿が。
トイレットペーパーやパスタに缶詰はどこも売り切れ、パンコーナーや野菜もすっからかんでした。
きっと週明けにはまた入荷しているのだと思いますが。
もはやパニックが起こる寸前の雰囲気です。
人間の深層心理として、そこまで危機感を感じていなかった人も、もしかしたらと思って買ってしまうものです。
そういう空気を感じながら、ボクも色々買いましたが、多くは子供のためです。
最悪大人はなんとかするとしても、小さい子供は理解できないですから。
ただ、何でもかんでも買えばいいということではないので、思い切って小さい冷凍庫を購入し、冷凍保存できる環境を少し増やすという方法にしました。
これで野菜などを冷凍しておけば、子供の栄養を最低限確保できるかなとは思っています。
いずれにしても、当分はまだ終息ということにはならないでしょう。
これからアフリカなどへ感染が広がれば、医療状況が整っていない分、深刻な問題となるかもです。
一方でアフリカではそこまで人間の移動がない分、広がらない可能性もありますが。
東京オリンピックも、東京/日本が終息すれば開催できるという主張をし続けています。
でも自分(自国)だけが安全ならいいということではないですから。
そう考えると、限りなく難しいと考えるのが現実的でしょう...
もちろん各国のリーダーたちは、己の責任において、自国を守るための手段を講じているわけですし、この今のパンデミックは誰のせいでもないと言わねばなりません。
犯人探し、感染源探し、対応の良さ悪さを突いている人/国は、今は人間のコミュニティから出て行っていただきたい。
こんなときだからこそ、人間力や器が問われます。
こんなときだからこそ、その人が受けてきた教育や教養が問われます。
ボクの会社も十分な赤字を出しています。
多くの大中小企業が苦しんでいると思います。
ボクのクラブ(フォルトゥナ)も、他のブンデスリーガクラブも、その他たくさんの方々が、赤字を抱えます。
一方でこんな状況下で荒稼ぎする輩もいます。
需要に対しての供給ですから、この原理から生まれるジレンマはなくなりませんが。
何度も書きますが、こんなとき問われるのは、人間力、人間性。
この世界的な危機的状況下で、強いカリスマが民衆を救い、そして少しでも早くワクチンが出来て、事実上の収束へ向かうことを願うばかりです。
ドイツでも日本でも、思うことは一緒です。
それがパンデミックという言葉の意味なのでしょう。
「頑張るときはいつも今」