サッカーの力。
日本代表がW杯から敗退したことで、日本でのW杯熱狂は終了となったのではないかと思います。
前評判とは裏腹に、グループリーグを突破し、ベスト16でも世界ランク3位のベルギーと真っ向から勝負しての惜敗。
ポーランド戦のラスト10分の振る舞いを後悔しての、ベルギー戦の最後まで攻める姿勢を見せたのは、ある意味非常に日本人らしかったなと思いました。
賛否両論がある中ではあると思いますが、日本人の誠実さが出たなという感想です。
翌日のコロンビアvsイングランドを見ていて思いましたが、コロンビアの選手たちは嫌気が差すくらい汚いプレーを繰り返していましたが、それを勝利への執念と言うかどうかの問題ではないでしょうか。
日本人選手がW杯の舞台で、相手選手を引っ張って、蹴り倒して、突き飛ばして、「何もしてない!」と審判に抗議している姿を見たら、それを見ている方々はどう思うんだろう、なんてことを思いましたから。
もちろん、正攻法ですべてクリーンに戦って、それでも世界の猛者たちに勝利していくというのは、あまりにも理想が高く、非現実的かもしれません。
だからこそ、日本人ももっと(批判に)強く、そして(ずる賢さを含めて)クレバーになっていかなくてはならないとは思います。
そういったことも含めて、今回の大会は得るものが多かったと言えるのではないでしょうか。
いずれにしても、前評判が低かっただけに、日本中が大フィーバーしていたことはこちらへも伝わってきていますし、世界のサッカーファンからの日本サッカーへの評価も急上昇したと思います。
日本に帰国する代表選手たちを待ち受けているのは、メディアメディアメディア、メディアの嵐でしょうね。
それもまた日本らしいとは思いますが、ドイツが2014年にW杯を優勝したあと、ドイツに戻ってきた後が、ボクには印象的でした。
ブラジルからドイツに戻ってきたその足で、ベルリンで大々的な優勝報告パーティーを行い、50万人とも100万人とも言われる人数を動員しましたが、そのあとは解散してそれぞれが所属クラブに戻って随時報告などを済ませ。
そして全員がバケーションへと消えていったのです。
見事なくらいにメディアに引っ張りだこになる選手はおらず、誰もが家族や彼女とつかの間の休暇を楽しむために姿を消したのです。
もちろんパパラッチが撮った写真と共に、「どの選手がどこどこでバケーションを楽しんでいる」といった記事は挙げていましたが。
とにかくサッカーの力はすごいなと思います。
W杯前に興味ない素振りを見せていた人たちですら、大迫がどうだとか乾がどうだとか言ってるわけですから。
ただし。
選手を取り巻く環境は変わっても、日本サッカーの状況が急激に良くなったというわけではないですからね。
そこを取り違えず、問題視されている育成の部分をもっとしっかりと冷静にフォーカスし、日本に適したシステムの構築を考えていかなくてはならないだろうなと思っています。
それはもちろん、代表監督が誰になるかも含めてですが。
最後に1つどうしても書いておきたいこと。
代表選手というものは、結果によってヒーローにもヒールにもなる可能性があります。
ポーランド戦の前の記者会見で川島選手がこのことに少し触れていましたが、その覚悟がないとここにはいない、と。
それが彼ら代表選手の責任であり権利でもあります。
だからこそ、ベルギー戦の受け入れ難い敗戦直後のインタビューに対しても、誰もが誠実に一生懸命応えていたと思います。
そんな状況でのインタビューに対して苦言を呈していた人が自分のSNSで主張していましたが、それは間違えていると思います。
プロ選手というものは何に支えられ、どういった存在なのかということは、常に理解しておく必要があります。
こういったことは、もっともっと厳格に、JリーグもJリーグクラブも、年代別代表選手も、A代表も徹底していく必要があると思います。
サッカーにはそれだけの影響力があるので、それをきちんと理解してほしいです。
ボクのように裏方の人間は、こういう部分にはどうしても敏感になってしまいます。
普段はこういったことに関する個人的な感情は書かないようにと思っていますが、日本サッカーの、日本のサッカー選手のクオリティの向上には、こういった部分の改善も欠かせないですから。
ということで、読んでくれて有難うございました。
選手、スタッフ、そのほか日本代表に関わるすべての皆様、お疲れ様でした。
「頑張るときはいつも今」