前々回のブログで書いた件ですが、改めて書かせてもらいます。
ちょっと背景とかも含めて、詳しく書かせてもらいますんで、よかったら読んでください。
先週、デュッセルドルフ日本人学校小学部2年生らのためのESPRITアリーナ見学会を実施しました。
この企画は10年前からやっているホームタウン活動の一つで、今回が節目となる10回目となりました。
10年前はフォルトゥナはまだ、3部リーグ所属でした。
ボクがフォルトゥナのフロントに入って最初に考えたことは、とにかくデュッセルドルフに住んでいる日本人の皆さんに知ってもらうことでした。
それくらい、みんな知らなかったし、まあ3部リーグ所属のサッカークラブじゃしょうがないことなんですけど。
そこでボクは当時の日本人学校に相談に行ったんです。
すると2年生の学年行事に学校を出て公共交通機関に乗って、何か施設を見学に行くという企画があることを知りまして。
それで、是非それをESPRITアリーナ見学会にしませんかと掛け合って、それを承諾してもらったところから始まりました。
最初の年は地元の新聞社が面白がって取材してくれて、また3部リーグ所属だったこともあって、練習終わりにグランドに入らせてもらえて、選手たちと一緒に写真を撮らせてもらうことができました。
翌日の写真に大きくその記事が出たので、子供達の親御さんらは、そのドイツの新聞を買いに走ったと聞きました。
ボクも最初の企画としては大成功、と思ったんです。
でもね、それでフォルトゥナ大好きな子達が増えたという実感はあまりなかったです。
それで、よく考えてみたんです、子供達からしたらどう感じたんだろうな、って。
そしたらなんとなくわかったんですよね、そうかって。
きっと子供達からしてみたら、学校の行事としてデュッセルドルフのサッカーチームを訪問して、見たこともない外国人の選手達と写真撮って、巨大なアリーナを見学しただけ、、、だったんです。
でもありがたいことに、学校側はこの行事をすごくポジティブに評価してくれて、翌年もやりましょうってなったんです。
その2年目はね、フォルトゥナが10年ぶりにブンデスリーガ2部に昇格していたので、街としても盛り上がっていました。
それに加えて、結城耕造選手という日本人選手が所属してくれたこともあって、子供達には身近なスターができた感じで。
見学会にも、練習を終えた結城選手が来てくれて、子供達と写真を撮るなどしてくれて、これも大盛況となりました。
でもね、ここでもボクは考えたんです。
子供達は結城選手以外に興味を持っていないなって。
つまりフォルトゥナが好きというより、結城選手が好きってなってたんです。
もちろん、それもすごくありがたいことなんですけどね。
それでね、3年目からは、学校側にお願いをして、事前授業をやらせてもらうようにしたんです。
ドイツサッカーについて、ブンデスリーガについて、フォルトゥナについて、そしてESPRITアリーナについて。
事前に勉強をすることで、今度みんながどんなところに行くのかを知ってくれて、そこにあるフォルトゥナというクラブがなんなのかを、しっかりと認識してくれるようになったんです。
さらに、授業の終わりに子供一人一人に選手のサインカードをランダムに1枚配って、宿題として似顔絵を描いてもらうっていうアクションを始めたんです。
これをボクは「マイプレーヤーアクション」って呼んでるんですが。
狙いは、(このシーズンは結城選手はすでに退団していましたので)日本人選手がいない中で、子供達に1人1選手でいいので、フォルトゥナの選手の中から自分の選手ってものを決めて欲しかったんです。
1選手でもいいから愛着を持ってもらおう、ということです。
それでランダムに配ったサインカードを見て似顔絵を描いてもらうことにしました。
子供達にしてみれば、キャプテンだろうが、主力選手だろうが、サブ選手だろうが、若手選手だろうが、それはあんまり関係ありません。
自分に与えられた選手が7番の選手だったら、一生懸命その選手の顔を見て、似顔絵を描くんです。
そうすることで、徐々に愛着も湧きますし、名前も覚えるし。
ボクはその似顔絵を一度全て回収させてもらって、選手達に届けまして。
ここでミソなのは、選手達ってこういうものもらっても、正直嬉しいけど、取っておくことはほとんどないんですよね。
それを知っていたからこそ、逆に子供達の似顔絵にサインをしてくれとお願いをしまして。
日本人小学校の2年生は毎年70-90人くらいなので、1選手につき3-4枚しかないし、みんな喜んでサインしてくれるんですけどね。
それにしても、子供達の絵が本当にユーモアに富んでいて。
毎回それが選手達に大ウケなんですよ。
中には大爆笑しながら写真を撮って、自分のSNSなんかで紹介してくれたりもするようになって。
そんな選手のサインが入った子供達の似顔絵を最後は綺麗にラミネートして、再び子供達に返却するんです。
するとね、それは世界に一つしかない、子供とフォルトゥナ選手の共同作品になるんです。
これを受け取ったときの子供達の顔ったら、もう最高なんですよ。
ここまでやると、子供達はそれぞれのマイプレーヤーをしっかり認識してくれます。
そんな準備をした上で、ESPRITアリーナ見学会を実施するようにしたんです。
この企画はその後、毎年本当に子供達が楽しみにするイベントになっています。
年々、子供達がフォルトゥナのユニフォームも買って着て来てくれるようにもなって。
今では90%以上の子達が、この見学会の時にはユニフォームを着て来てくれるんです。
ホームタウン活動って、継続してこそ意味があるんだなって、感じる瞬間ですよ。
これを10回もやってきたんだなぁって、ちょっと一人で感傷に浸っちゃう部分、ありますもん。
そんな風にして続けてきたESPRITアリーナ見学会ですが、今回はそれを映像にしようと提案しまして。
忙しいウチの映像部隊を引っ張り出して、とにかく動画にしてくれとお願いしたんです。
最初は「しょうがないなぁ」という感じで撮影に入った同僚ですが、この企画の素晴らしさにどんどん引き込まれていき、子供達のキラキラした顔を見て、彼自身も引き込まれていきました。
最後には「こんな素晴らしいアクションは、ドイツ人の小学校にももっと積極的にやるべきだ」って言うようになってくれましたからね。
そうして出来上がった動画が、こちらです。
こんな背景があって続けられてきた行事で、そして子供達がどんな気持ちで選手達を見ていて、そしてアリーナの中を見学しているのか、少し想像しながら見ていただければ嬉しいです。
2017年、デュッセルドルフ日本人学校小学部2年生、ESPRITアリーナ見学会の様子です。
では、どうぞ。
YouTube: Japanische Schüler besuchen F95
「頑張るときはいつも今」