忍者のような日本人。
今日は、学校体育は日本の誇れるシステムだって話を少し。
スポーツ全般にそうだと思うけど、サッカー界では取り分け、日本人選手の特徴は俊敏性と言われます。
その他にも持久性や真面目さ、ユーティリティ性なんてこともあるけど、とにかく俊敏性は抜群だと思います。
世界的に見れば、当然俊敏性に富んだ選手はどこにでも居ますが、日本人の総合的なコーディネーション能力は本当に誇れるものだと言われています。
漠然とではありますが、それはアジア人の特徴、という感じで表現されることがあります。
でもこの説明には少し納得がいかない。
そこで、オレがドイツに長年いて、多くの子供達を見てきて感じたことから導き出した答え。
それが、「学校体育」の存在です。
学校体育マネージメント的な面から見ても、いろいろと書きたいことはあるのですが、今日はとにかく、このコーディネーション能力に着目した話にします。
日本の学校体育では、季節により場所や種目を変え、総合的な身体能力の向上を図ります。
サッカー、バスケットボール、バレーボールはもちろん、水泳、鉄棒、陸上、マット運動、縄跳びなど、多岐に渡ります。
子供は成長過程で徐々に使わない運動神経は失われていくと言われています。
これは脳の神経細胞同士を接合するシナプスが失われるからで、特に7〜12歳の間に使われないシナプスは消滅するそうです。
だから、小学校時代に出来るだけ多くの動きをすることで、様々な運動神経を残していくことが出来るわけです。
多少の個人差はあっても、日本人で泳げない子や逆上がりが出来ない子はほとんどいません。
これって実はすごいことなんです。
これの比較対象になるのがドイツ。
ドイツには学校体育がほとんどありません。
これはスポーツは地域のクラブでやるもの、という位置付けになっているからで、だから極端な話、校庭や体育館を持たない学校もたくさんあります。
子供たちは学校が終わると地域のクラブでスポーツをします。
自分の判断で好きなスポーツをしますから、自ずとほとんどの子はサッカーとなります。
そんな場所でサッカーを選択している子が、すすんで他のスポーツなどはやりません。
よって極端な話ではありますが、バスケットボールのためのバレーボールのための、水泳のための、鉄棒のための、縄跳びのための、それらに必要なシナプスは消滅し、その運動神経は発達しないということになるんです。
それでももちろんサッカーは、限りなく総合的な身体活動です。
短距離も長距離も、俊敏性もフィジカルも求められます。
だから総合的な運動神経の発達は行えています。
でも一見、運動神経抜群に見える青年も、全く泳げなかったり、鉄棒が出来なかったり、側転が出来なかったり、なんて姿も結構あるんです。
オレはケルン体育大のスポーツテストを受けた経験がありますが、そんな姿をかなり目撃しました。
オレが現役時代にも、サーキットトレーニングで縄跳びがあったりしましたが、リズム良く跳べない選手を本当に多く見ました。
オレが面白がって二重跳びやはさぶさ跳びなんて見せると、
「ストリートで金稼ぎ出来るな」
と本気で感心されたものですから。
日本人の最大の特徴であるこの俊敏性。
日本人は小さく忍者のように走り回るなんて表現もされますが、学校体育に実は感謝すべきなんですね。
自分の常識が必ずしも他人の常識ではないってこと、特に外国ではよく感じます。
こうやって日本のことを見つめ直したり、日本人であることに誇りを持ったり出来るのって、なんかいいですよね。
今日はそんな話でした。
ちなみに余談ですが、最近はドイツでも、小さいうちからトレーニングに、いろいろなトレーニング方法を導入し、様々なシナプスの保持に努めているようです。
ラダートレーニングしかり、縄跳び練習しかり。
良いものは良いと判断し、取り入れるということも大切ですよね。
しかし、、、、
ドイツ人たちが日本人選手らのような総合的なコーディネーション能力を身につけ、俊敏性が高まってしまったら...
それでは。
「頑張るときはいつも今」
GENGO