今週はまた、ヨーロッパから悲しいニュースが世界に発信されました。
ニースでのトラックを使った残虐な無差別殺人事件。
そしてトルコでのクーデター未遂事件。
どちらもまだ真相は明らかになっていないようですが、いずれにしても、平穏だったヨーロッパは、あちこちで起こる残虐な事件に心を痛めています。
これは地震や台風、ハリケーンなどの自然災害とは違う、いわゆる人災です。
誰か“人間”による災害なのです。
思想の違い、宗教の違い、見た目の違い、そういった違いを受け入れられない人たちによるもの。
そしてその多くは、報復行為だったり、制裁だったりするわけで。
日本のACジャパンのCMで、「セトモノとセトモノがぶつかるとすぐ壊れちゃう。どっちかが柔らかければ大丈夫」というものを見かけました。
なんと素晴らしい表現なのか。
自己本位ではなく、相手を思う気持ち。
自分が痛みを吸収する思いやり。
それが争いや憎悪を消し、笑顔を生むのだという、内容ですよね。
ドイツには、多くの、本当に多くのトルコ人が暮らしています。
ボクもこれまでに本当にたくさんのトルコ人と友達になってきました。
その多くが本当にいい人達。
(彼らにとってそんなに深い意味はないが)すぐ“ブラザー”と呼んでくれ、人懐っこい性格の民族でもあるんです。
言葉がなかなかできないころ、そういう彼らの存在にはすごく助けられたし、彼らにたくさんのドイツ語を教わったものです。
そんなトルコでのクーデター事件。
他にもイスタンブール空港での爆発テロや、その前にもいくつも起こってるテロ事件。
たしかにISに関わる人間がトルコ経由で入ってきたりしている事実は否定できませんが。
でも多くは、全く何の罪もない善良な市民です。
そんな彼らが犠牲になるなんて、辛すぎるし理不尽すぎます。
きっと日本にいる皆さんは、最近のトルコの情勢を見て、すごく怖い国ってイメージになってしまってるだろうな。
事実として事件が起きてるから正しいけど、一方でだからトルコ人がみんなそうだなんて思わないで欲しい。
そこで思い出したのが「海難1890」という映画。
1890年に海難事故にあったトルコの船を、和歌山の漁村の人達が必死に救ったという話。
その時の恩を、1985年のイランイラク戦争の際に、現地に取り残されてしまった日本人らのために、トルコ政府が救援機を飛ばして助けてくれるという形で返してくれた国、それがトルコです。
このときに助けてもらった日本人の方々や、飛行機を飛ばせなかった日本政府は、このトルコという国にまた、大きな恩を受けたのです。
トルコの人たちは今、見えない恐怖に怯えていることでしょう。
日本で言ったら、東京や大阪でテロが頻発し、挙げ句の果てに戦車が街中を走り抜け、国会議事堂に攻めこもうとしたくらいのことが起こってるわけですから。
そりゃきっと国民の方々も心を痛めてるし、疲労困憊でしょう。
ボクたちに、急に何かできることなんてなかなかないかもしれません。
でもだからこそ出来ることは、“セトモノ”じゃないでいること、かなと。
トルコという国をやみくもに悪く思わず、逆に一握りの非人道者らにとって、苦しんでるトルコ人がたくさんいるという事実を知っておいて欲しいです。
これはもちろん、フランスもそうですし、ベルギーもそう。
バングラデシュもそうだし、その他テロが起こってる様々な地域も同様です。
「同情するなら金をくれ」なんてフレーズもありましたが、事実を知って、その国の人のことを思って欲しいです。
外国に住む日本人として、日本のことをすごく誇りに思うことは多々あります。
一方でネット社会であっても、やはり物理的に島国なんだなぁと感じることも少なくありません。
人と人の繋がりは、ネットでは感じられない温かさがありますから。
我々日本人が世界に誇れる精神、それは「武士道」だと思います。
相手を思いやる心、自己犠牲の精神、責任感などなど、改めて感じる日本人の素晴らしさ。
それを損なわないで欲しいなと、心から思っています。
今日はちょっと、深い内容になりましたが、是非、機会があったら「海難1890」を観てみてくださいね。
それでは、未だ親知らずに苦しむドイツより。
「頑張るときはいつも今」